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『バニシング・ポイント』(セルBD)
2017年11月17日(金)
Vanishing Point


 中学か高校のころ、地上波テレビの吹替版を見て強烈な印象を受けたアメリカン・ニューシネマの傑作。
 買い損ねたブルーレイの中古品が最高2万円台まで高騰していたため、長らく再販を待っていたところ、今年7月になって1905円(税抜、ネット価格は1020円)の廉価版が出た。

 開巻のタイトルバック、カリフォルニアの片田舎の街並み、その住人や警官の姿が映し出され、その合間に白いダッジ70年型HEMI・チャレンジャーが猛スピードで大平原の一本道を疾走する場面が挟まる。
 ダッジを運転する男(バリー・ニューマン)が警察に追われており、警察との最後の対決が迫っていることを暗示すると、映画はいったん過去に遡る。

 男は自動車の陸送を請け負っているプロのドライバーで、コロラド州デンバーからカリフォルニア州サンフランシスコまでダッジを送り届けている最中だった。
 2日前の夜、デンバーのカー・デリバリー会社へ別の車を運転して送り届け、体調を気遣う友人サンディ(カール・スウェンソン)に一晩泊まっていくように勧められながら、すぐさまダッジに乗り込んでシスコに向かったのだ。

 途中でヒッピーたちがたむろするバーに寄り、知り合いの売人から覚醒剤の錠剤スピードを買ってハイな気分になると、12時間でシスコまで行けるかどうかを売人と賭け、一路シスコへ向かってダッジを飛ばす。
 ハイウェイ・パトロールの白バイに追いかけられ、スピード違反で車を停めるよう警告されてもひるまず、白バイも応援のパトカーも振り切ってひたすら爆走を続ける。

 躍起になって追い続ける警察の調査、男の脳裏に何度もフラッシュバックする場面の数々によって、次第に男の過去と正体が明らかになってくる。
 姓はコワルスキー、名は不明、かつてはベトナム戦争で戦功を上げ、名誉勲章を受けた元帰還兵。

 帰国後はサンディエゴで警官になりながら、容疑者の少女を暴行しようとした上司を殴って退職、その後はプロのレーサーに転身するが、事故を起こしてリタイヤ。
 サーファーだった恋人を海難事故で亡くしており、どうやら家族や身寄りはいないらしい。

 警察の追っ手を振り切ってコロラドからネヴァダへ、さらにカリフォルニアへと州をまたいで走り続けるコワルスキーを、ミニFMのDJスーパー・ソウル(クリーヴォン・リトル)が自分の番組で声高く称賛する。
 「コワルスキーがやっているのは自由への疾走だ! 権力への反乱だ!」と。

 ただし、コワルスキー自身は暴走する理由を一言も語らず、取り立ててアウトローぶっているわけでもない。
 通りすがりに知り合ったバイカーのエンジェル(ティモシー・スコット)や蛇狩りの老人(ディーン・ジャガー)にはむしろ気さくで優しい一面を見せる。

 とりわけ印象的なのは、素っ裸でバイクを乗り回しているエンジェルの恋人(ギルダ・テクスター)。
 権威への反抗や既成の価値観を否定する表現行為の一環として裸を見せるヌーディストもいるが、そういう主義主張は何もなく、サボテンの生い茂る砂漠に突然現れる彼女の姿は鮮烈で、色気を感じさせながらもまるでいやらしくない。

 映画史に残るラスト、コワルスキーはただ淡々と、笑みさえ浮かべてダッジのアクセルを踏み込む。
 警察がブルドーザー2台で封鎖した道路上のバニシング・ポイント(消失点)に向かって。 

 コワルスキーは何を考えていたのか。
 特典映像『メイキング・オブ・「バニシング・ポイント」〜当時を振り返って』で、監督のリチャード・C・サラフィアン、コワルスキーを演じたバリー・ニューマンがそれぞれの見解を語っている。

 見た人それぞれの解釈に任せればいい、というのがぼくの受け止め方。
 なお、サラフィアンは当初、まったく違うエンディングを考えていたところ、20世紀FOXのプロデューサー、リチャード・D・ザナックの鶴の一声で現行の幕切れに決まったのだと、サラフィアン自身が証言している。
 
 オススメ度A。



(1971年 アメリカ=20世紀FOX 99分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2017リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

93『突撃隊』(1962年/米)A
92『上海から来た女』(1947年/米)B
91『偉大なるアンバーソン家の人々』(1942年/米)B
90『デストラップ 死の罠』(1982年/米)A
89『眠れぬ夜のために』(1985年/米)B
88『ジュラシック・ワールド』(2015年/米)B
87『シン・ゴジラ』(2016年/東宝)A
86『何者』(2016年/東宝)A
85『怒り』(2016年/東宝)A
84『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1969年/東映)B
83『エベレスト』(2015年/米、英、氷)B
82『運命を分けたザイル』(2003年/英)A
81『マラソンマン』(1976年/米)B
80『日曜日には鼠を殺せ』(1964年/米)B
79『トム・ホーン』(1980年/米)B
78『ギャンブラー』(1971年/米)A
77『サウスポー』(2015年/米)B
76『レスラー』(2008年/米)A
75『スーサイド・スクワッド』(2016年/米)C
74『エルム街の悪夢』(1984年/米)B
73『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年/東宝)C
72『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016年/東宝)C
71『SCOOP!』(2016年/東宝)C
70『極道の妻たち』(1986年/東映)D
69『チャイナタウン』(1974年/米)A
68『シチズンフォー/スノーデンの暴露』(2014年/米、独)A
67『アイスブレイカー 超巨大氷山崩落』(2016年/露)C
66『ヴィジット』(2015年/米)C
65『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年/米)A
64『アントマン』(2015年/米)B
63『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年/米)B
62『インクレディブル・ハルク』(2008年/米)C
61『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年/米)B
60『大いなる決闘』(1976年/米)B
59『ワイルド・ギース』(1978年/英、瑞)A
58『鷲は舞いおりた』(1977年/アメリカ)C
57『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』(2007年/米)B
56『ブレードランナー/ファイナル・カット』(1982、2007年/米)A
55『ターザン:REBORN』(2016年/米)B
54『二ツ星の料理人』(2015年/米)B
53『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B
52『サイレント・ランニング』(1972年/米)B
51『アンドロン』(2015年/伊、英、馬)D
50『アウトバーン』(2016年/米、独)B
49『カラーパープル』(1985年/米)A
48『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年/米)A
47『超高層プロフェッショナル』(1979年/米)C
46『特攻大作戦』(1967年/米)B
45『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2015年/米)B
44『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(2005年/米)D
43『エミリー 悪夢のベビーシッター』(2015年/米)C
42『チリ33人 希望の軌跡』(2015年/智、哥)B
41『人生は小説よりも奇なり』(2014年/米)C
40『ファミリー・プロット』(1976年/米)A
39『グッド・ネイバー』(2016年/米)C
38『エージェント・ウルトラ』(2015年/米)B
37『デッドプール』(2016年/米)B
36『ちはやふる−下の句−』(2016年/東宝)B
35『ちはやふる−上の句−』(2016年/東宝)B
34『クリーピー 偽りの殺人』(2016年/松竹、アスミックエース)D
33『ザ・コントロール』(2016年/米)D
32『ダイヤルM』(1998年/米)B
31『ランス・アームストロング/ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A
30『ラスト・スキャンダル あるハリウッドスターの禁じられた情事』(2014年/米)C
29『ヘイトフル・エイト』(2015年/米)C
28『マギー』(2015年/米)B
27『三匹の侍』(1964年/松竹)C
26『女ガンマン 皆殺しのメロディ』(1971年/英)B
25『さらば愛しき女よ』(1975年/米)B
24『バーディ』(1984年/米)B
23『父 パードレ・パドローネ』(1977年/伊)B
22『カンバセーション…盗聴…』(1974年/米)B
21『マン・オン・ワイヤー』(2008年/英、米)B
20『ザ・ブリザード』(2016年/米)C
19『クール・ランニング』(1993年/米)B
18『完全なるチェックメイト』(2015年/米)B
17『ルーム』(2015年/加、愛)B
16『イット・フォローズ』(2015年/米)C
15『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年/米)C
14『ザ・コア』(2003年/米)D
13『怪談』(1965年/東宝)B
12『切腹』(1962年/松竹)A
11『「ベガルタ」〜サッカー、震災、そして希望〜』(2016年/英)A
10『ユーズド・カー』(1980年/米)B
9『突破口!』(1973年/米)A
8『目撃』(1997年/米)B
7『ブラック・スキャンダル』(2015年/米)B
6『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』(2015年/米)C
5『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年/米)C
4『ロボシャークvs.ネイビーシールズ』(2015年/米)B
3『シェルター』(2010年/米)C
2『僕だけがいない街』(2016年/ワーナー・ブラザース)C
1『誰も知らない』(2004年/シネカノン)A
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