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『日曜日には鼠を殺せ』(WOWOW)
2017年10月2日(月)
Behold a Pale Horse


 この映画の存在を知ったのは高校1年生だった1978年、映画評論家・双葉十三郎氏の著書『外国映画25年みてある記 ぼくの採点表/アメリカ編』(1978年/近代映画社)を読んだときである。
 名匠フレッド・ジンネマンがメガホンを取り、『ナバロンの要塞』(1961年)でタッグを組んだグレゴリー・ペックとアンソニー・クインが敵味方に分かれて戦う、というサワリを読んだだけで胸がときめいたものだ。

 しかし、DVDもレンタルビデオもなかった当時、地上波テレビの洋画劇場で放送されるようなヒット作ではなく、当然名画座にかけられることもほとんどなかったため、長らく見損ねたままだった。
 ということすら忘れていたこのトシになって、きれいなデジタルリマスター版がWOWOWで放送されたのはうれしい。
 
 スペイン内戦が軍の率いる右派勢力の勝利に終わり、フランコ将軍の政権が築かれてから20年後の1959年。
 フランスの田舎町ポーのスペイン通りで逃亡生活を送っていたかつての人民軍の英雄マヌエル(ペック)の元へ、スペインからピレネー山脈の国境を越えて少年パコ(マリエット・アンジェレッティ)がやってくる。

 人民軍の残党の手助けによってポーに辿り着いたパコは、故郷の町の警察署長ヴィニョラス(クイン)を殺してほしい、とマヌエルに頼み込む。
 パコの父ホセはマヌエルの居場所を吐くようヴィニョラスに迫られ、拷問された揚げ句に殺されていたのだ。

 そのヴィニョラスにとって、マヌエルはスペイン国内のお尋ね者で、20年来追いかけ続けている仇敵でもあった。 
 フランスに逃げたままのマヌエルには手が出せないため、人民軍でマヌエルの戦友だったカルロス(レイモン・ペルグラン)を利用し、ふたたびスペインにおびき寄せようと企む。

 マヌエルの故郷の病院にはマヌエルの母親が入院中で、もう危篤状態にあるとカルロスを使ってマヌエルに伝え、死に目に会おうとやってきたところを逮捕しようというのだ。
 しかし、その母親は「息子のマヌエルにここへ来てはいけないと伝えてください。ヴィニョラスに殺されてしまうから」とフランシスコ神父(オマー・シャリフ)に言い残し、すでに亡くなっていた。

 ちょうどほかの神父たちと一緒にフランスのルルドへ出かけることになっていたフランシスコは、母親の遺言をマヌエルに知らせるため、行きがけにポーへ立ち寄る。
 マヌエルは不在だったため、フランシスコは留守を預かるパコに対し、マヌエルの母親は死んでいる、スペインに帰ってはいけない、と認めた手紙を託した。

 父親の仇討のため、マヌエルをスペインに帰らせたかったパコは手紙を破ってトイレに流してしまうが、良心の呵責に耐えかねてマヌエルにフランシスコの証言を告白。
 母親は生きているのか、死んでいるのか、マヌエルは真相を確かめるべく、戦友ペドロ(パオロ・ストッパ)とともにカルロスとパコを引っ立てるようにしてフランシスコのいるルルドへ向かう。
 
 マヌエルと母親、パコ、フランシスコ、さらにスパイ役を務めるカルロスと、ジンネマンはそれぞれの登場人物の葛藤を肌理細かく描いてゆく。
 一見残忍なキャラクターのように描かれているヴィニョラスも、国家を守るという大義には忠実な男であり、フランシスコに協力を迫る場面では大変生真面目な役人の一面を見せる半面、妻と愛人の板挟みになるくだりでは中年男の弱みと哀しさも垣間見せる。

 ただし、マヌエルとその母親が筋金入りの無神論者で、キリスト教を否定しており、マヌエルが「おれのおふくろが神父に本当のこと言うわけがない」としてフランシスコの証言を信じようとしないところは、日本人にはちょっとわかりにくい。
 当時のスペインの国民感情や内戦の背景にも関わる重要な部分だけに、ここがいまひとつ理解しにくいのは残念でもある。
 
 マヌエルが死を覚悟して故郷の町に帰り、民家の屋根からヴィニョラスやカルロスを狙撃するクライマックスは、ジンネマンがのちに監督する名作『ジャッカルの日』(1973年)を彷彿とさせた。
 また、パコがポーの少年少女たちと仲良くなる場面で、サッカーボールが大変効果的に使われていることも記憶にとどめておきたい。

 オススメ度B。

(1964年 アメリカ=コロンビア・ピクチャーズ 122分/モノクロ)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2017リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

79『トム・ホーン』(1980年/米)B
78『ギャンブラー』(1971年/米)A
77『サウスポー』(2015年/米)B
76『レスラー』(2008年/米)A
75『スーサイド・スクワッド』(2016年/米)C
74『エルム街の悪夢』(1984年/米)B
73『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年/東宝)C
72『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016年/東宝)C
71『SCOOP!』(2016年/東宝)C
70『極道の妻たち』(1986年/東映)D
69『チャイナタウン』(1974年/米)A
68『シチズンフォー/スノーデンの暴露』(2014年/米、独)A
67『アイスブレイカー 超巨大氷山崩落』(2016年/露)C
66『ヴィジット』(2015年/米)C
65『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年/米)A
64『アントマン』(2015年/米)B
63『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年/米)B
62『インクレディブル・ハルク』(2008年/米)C
61『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年/米)B
60『大いなる決闘』(1976年/米)B
59『ワイルド・ギース』(1978年/英、瑞)A
58『鷲は舞いおりた』(1977年/アメリカ)C
57『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』(2007年/米)B
56『ブレードランナー/ファイナル・カット』(1982、2007年/米)A
55『ターザン:REBORN』(2016年/米)B
54『二ツ星の料理人』(2015年/米)B
53『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B
52『サイレント・ランニング』(1972年/米)B
51『アンドロン』(2015年/伊、英、馬)D
50『アウトバーン』(2016年/米、独)B
49『カラーパープル』(1985年/米)A
48『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年/米)A
47『超高層プロフェッショナル』(1979年/米)C
46『特攻大作戦』(1967年/米)B
45『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2015年/米)B
44『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(2005年/米)D
43『エミリー 悪夢のベビーシッター』(2015年/米)C
42『チリ33人 希望の軌跡』(2015年/智、哥)B
41『人生は小説よりも奇なり』(2014年/米)C
40『ファミリー・プロット』(1976年/米)A
39『グッド・ネイバー』(2016年/米)C
38『エージェント・ウルトラ』(2015年/米)B
37『デッドプール』(2016年/米)B
36『ちはやふる−下の句−』(2016年/東宝)B
35『ちはやふる−上の句−』(2016年/東宝)B
34『クリーピー 偽りの殺人』(2016年/松竹、アスミックエース)D
33『ザ・コントロール』(2016年/米)D
32『ダイヤルM』(1998年/米)B
31『ランス・アームストロング/ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A
30『ラスト・スキャンダル あるハリウッドスターの禁じられた情事』(2014年/米)C
29『ヘイトフル・エイト』(2015年/米)C
28『マギー』(2015年/米)B
27『三匹の侍』(1964年/松竹)C
26『女ガンマン 皆殺しのメロディ』(1971年/英)B
25『さらば愛しき女よ』(1975年/米)B
24『バーディ』(1984年/米)B
23『父 パードレ・パドローネ』(1977年/伊)B
22『カンバセーション…盗聴…』(1974年/米)B
21『マン・オン・ワイヤー』(2008年/英、米)B
20『ザ・ブリザード』(2016年/米)C
19『クール・ランニング』(1993年/米)B
18『完全なるチェックメイト』(2015年/米)B
17『ルーム』(2015年/加、愛)B
16『イット・フォローズ』(2015年/米)C
15『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年/米)C
14『ザ・コア』(2003年/米)D
13『怪談』(1965年/東宝)B
12『切腹』(1962年/松竹)A
11『「ベガルタ」〜サッカー、震災、そして希望〜』(2016年/英)A
10『ユーズド・カー』(1980年/米)B
9『突破口!』(1973年/米)A
8『目撃』(1997年/米)B
7『ブラック・スキャンダル』(2015年/米)B
6『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』(2015年/米)C
5『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年/米)C
4『ロボシャークvs.ネイビーシールズ』(2015年/米)B
3『シェルター』(2010年/米)C
2『僕だけがいない街』(2016年/ワーナー・ブラザース)C
1『誰も知らない』(2004年/シネカノン)A
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