counter
www.akasaka-cycle.com
font size       [old site
 home   blog   works   pick-up   others   profile   bbs 
『ギャンブラー』(NHK-BS)
2017年09月28日(木)
McCabe & Mrs. Miller


 監督・脚本ロバート・アルトマン(脚本はブライアン・マッケイと共同)、撮影ヴィルモス・スィグモンド、音楽レナード・コーエンと、1970年代のハリウッドを代表する才能が集結した異色の西部劇。
 アメリカン・ニューシネマのムーブメントをもたらして時代の寵児となったウォーレン・ベイティ、そのベイティと私生活でも交際していたオスカー女優ジュリー・クリスティーがカップル役で共演している。

 舞台は19世紀末、カナダとの国境に近いワシントン州、近くの炭坑へ出稼ぎに来た坑夫たちや中国人労働者たちが住み着いている寒村。
 ある日、この村の居酒屋にふらりと現れた流れ者の賭博師マッケイブ(ベイティ)が言葉巧みに坑夫や村人たちを取り込み、スタッド・ポーカーの賭博場兼売春宿を開業する。

 なかなか若い売春婦が集まらずにマッケイブが苦労としていたところへ、若い女たちを引き連れ、自らも身体を売っている姉御肌のコンスタンス・ミラー(クリスティ)が登場。
 この場面でコンスタンスたちが乗っている蒸気自動車は18世紀末期に発明されたもので、この映画のためにつくられたのか、どこかに保存されていた本物なのかは不明だが、西部劇でも滅多に見られないレトロな乗り物として記憶しておきたい。

 マッケイブの協同経営者となったコンスタンスは商売柄か、計算高くて男顔負けの行動力の持ち主。
 酒場の内装をもっと豪華にしたい、売春宿に風呂屋も併設するべきだ、客が女と寝る部屋には立派な家具をそろえて豪華にしよう、などと主張する。

 そのうち、最初は無頼の賭博師を気取っていたマッケイブが、実は女に対しては奥手の小心者という正体を露呈。
 精力をつけるためか、いつもウイスキーのダブルに生卵を入れてあおり、「おれは商売女しか知らないんだ」とぼやいて、コンスタンスと同じベッドに入るのにも律儀に(?)金を払わずにはいられない。

 こういう女々しさ、カッコ悪さは、ベイティが『俺たちに明日はない』(1967年)で演じたEDのギャング、クライド・バーカー像にも相通ずるものがある(実在のバーカーはEDではなかったようだが)。
 賭博場兼売春宿が繁盛し、大勢坑夫たちが出入りするようになって村もひとかどの町に発展すると、大手炭鉱会社の幹部がやってきて、店を買収したいとマッケイブに持ちかける。

 すぐに店を売ってこの街から出て行こうと言うコンスタンスに対し、すっかり気の大きくなったマッケイブは売り値を吊り上げにかかり、なかなか店を売却しようとしない。
 やがて、コンスタンスの懸念した通り、業を煮やした炭鉱会社の幹部は、残忍な殺し屋をマッケイブの元に差し向ける。

 この殺し屋たちがたむろしている寂れた酒場は、町外れの池にかかった吊橋の向こう側にあって、客が氷の張った池の上をトボトボと歩いて渡る寒々とした描写が、いかにも70年代の映画らしくて印象深い。
 酔っ払った若いカウボーイ(キース・キャラダイン)が、まだ子供のような殺し屋に橋の上で撃ち殺され、池に落ちて氷の下に沈んでゆく場面も独特の余韻を残す。
 
 殺し屋たちは町の教会に火を放ち、村人たちが総出で消火活動に大わらわになっている最中、逃げ惑うマッケイブをじわじわと追い詰めてゆく。
 雪の降りしきる中、独特の光学処理(フラッシング)を施したスィグモンドの撮影による画面が美しく、リアルで生々しい銃撃戦が繰り広げられているのに、大変幻想的に見えるところが素晴らしい。

 人工雪ではなく明らかにアニメーションらしき特殊効果で表現した雪はどうやってつくったのかわからないが、ほかの映画では味わえない不思議な感動を醸し出すことに成功している。
 マッケイブの死とコンスタンスの不幸を暗示した締めくくり方は曖昧で、アメリカン・ニューシネマの代表作のような強烈さには乏しいものの、70年代を代表するアメリカ映画の佳作と言っていい。
 
 オススメ度A。

(1971年 アメリカ=ワーナー・ブラザース/日本公開1972年 122分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2017リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

77『サウスポー』(2015年/米)B
76『レスラー』(2008年/米)A
75『スーサイド・スクワッド』(2016年/米)C
74『エルム街の悪夢』(1984年/米)B
73『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年/東宝)C
72『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016年/東宝)C
71『SCOOP!』(2016年/東宝)C
70『極道の妻たち』(1986年/東映)D
69『チャイナタウン』(1974年/米)A
68『シチズンフォー/スノーデンの暴露』(2014年/米、独)A
67『アイスブレイカー 超巨大氷山崩落』(2016年/露)C
66『ヴィジット』(2015年/米)C
65『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年/米)A
64『アントマン』(2015年/米)B
63『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年/米)B
62『インクレディブル・ハルク』(2008年/米)C
61『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年/米)B
60『大いなる決闘』(1976年/米)B
59『ワイルド・ギース』(1978年/英、瑞)A
58『鷲は舞いおりた』(1977年/アメリカ)C
57『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』(2007年/米)B
56『ブレードランナー/ファイナル・カット』(1982、2007年/米)A
55『ターザン:REBORN』(2016年/米)B
54『二ツ星の料理人』(2015年/米)B
53『炎の人ゴッホ』(1956年/米)B
52『サイレント・ランニング』(1972年/米)B
51『アンドロン』(2015年/伊、英、馬)D
50『アウトバーン』(2016年/米、独)B
49『カラーパープル』(1985年/米)A
48『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年/米)A
47『超高層プロフェッショナル』(1979年/米)C
46『特攻大作戦』(1967年/米)B
45『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2015年/米)B
44『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(2005年/米)D
43『エミリー 悪夢のベビーシッター』(2015年/米)C
42『チリ33人 希望の軌跡』(2015年/智、哥)B
41『人生は小説よりも奇なり』(2014年/米)C
40『ファミリー・プロット』(1976年/米)A
39『グッド・ネイバー』(2016年/米)C
38『エージェント・ウルトラ』(2015年/米)B
37『デッドプール』(2016年/米)B
36『ちはやふる−下の句−』(2016年/東宝)B
35『ちはやふる−上の句−』(2016年/東宝)B
34『クリーピー 偽りの殺人』(2016年/松竹、アスミックエース)D
33『ザ・コントロール』(2016年/米)D
32『ダイヤルM』(1998年/米)B
31『ランス・アームストロング/ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A
30『ラスト・スキャンダル あるハリウッドスターの禁じられた情事』(2014年/米)C
29『ヘイトフル・エイト』(2015年/米)C
28『マギー』(2015年/米)B
27『三匹の侍』(1964年/松竹)C
26『女ガンマン 皆殺しのメロディ』(1971年/英)B
25『さらば愛しき女よ』(1975年/米)B
24『バーディ』(1984年/米)B
23『父 パードレ・パドローネ』(1977年/伊)B
22『カンバセーション…盗聴…』(1974年/米)B
21『マン・オン・ワイヤー』(2008年/英、米)B
20『ザ・ブリザード』(2016年/米)C
19『クール・ランニング』(1993年/米)B
18『完全なるチェックメイト』(2015年/米)B
17『ルーム』(2015年/加、愛)B
16『イット・フォローズ』(2015年/米)C
15『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年/米)C
14『ザ・コア』(2003年/米)D
13『怪談』(1965年/東宝)B
12『切腹』(1962年/松竹)A
11『「ベガルタ」〜サッカー、震災、そして希望〜』(2016年/英)A
10『ユーズド・カー』(1980年/米)B
9『突破口!』(1973年/米)A
8『目撃』(1997年/米)B
7『ブラック・スキャンダル』(2015年/米)B
6『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』(2015年/米)C
5『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年/米)C
4『ロボシャークvs.ネイビーシールズ』(2015年/米)B
3『シェルター』(2010年/米)C
2『僕だけがいない街』(2016年/ワーナー・ブラザース)C
1『誰も知らない』(2004年/シネカノン)A