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『炎の人ゴッホ』(NHK-BS)
2017年07月10日(月)
Lust for Life


 オランダの大画家ゴッホの生涯を描いた堂々たる文芸大作で、主演カーク・ダグラスが自伝『くず屋の息子』(1989年)で1章を割き、撮影終了後もしばらくゴッホが自分の中から出て行かなかった、と吐露している彼の代表作の1本。
 そのうちDVDを購入しようと思っていたら、先月NHK-BSのプレミアムシネマで放送されたので早速チェックした。

 冒頭、尊敬する父と同じ牧師になろうと伝道師の試験を受けて失格、それでも聖職者への道を諦めきれず、懸命に努力を重ねるゴッホの姿が描かれる。
 担任教師の温情でベルギーの炭鉱町ボリナージュに赴任すると、ゴッホは坑夫たちと同じ生活をしなければ救いを与えられないとして、藁のベッドで寝起きするほどの貧乏暮らしを自らに強いる。

 そんな極端なまでに純粋な姿勢が「教会の名を汚す」として牧師たちの不興を買い、職を解かれ、弟テオ(ジェームズ・ドナルド)にオランダ北部エッテンの実家へ連れ戻される。
 ここで絵に打ち込むようになったころ、従姉妹の未亡人で子持ちのケー(ジャネット・スターク)に激しい恋心を抱き、手痛い拒絶に遭う。

 逆上したゴッホはアムステルダムの実家にまで押しかけるが、ここでも彼女の両親が会わせてくれない。
 ケーの父親(ウィルトン・グラフ)に「軟弱者」と罵られたゴッホは、ロウソクの火で自分の手のひらを炙り、「これでも軟弱者ですか。私がこうしている間にケーに会わせてください」と言い募る。
 
 打ちひしがれて立ち寄った酒場で子持ちの娼婦クリスティナ(パメラ・ブラウン)と知り合い、一緒に暮らすようになったものの、この同棲生活も間もなく破綻。
 そんな私生活での不幸をすべて創作活動のエネルギー源にしたかのように、ゴッホは絵画に没頭してゆく。

 ゴッホといえば一般的には偏狭で激情家だった印象ばかりが強いが、こと絵に関しては貪欲に様々な技法を採り入れており、大変研究熱心だったことがわかる。
 日本の浮世絵を評価し、印象派のスーラ(デヴィッド・ボンド)の色の使い方を教わるくだりなど、実に興味深い。

 最大の見どころは晩年、ポール・ゴーギャン(アンソニー・クイン)とともに送ったアルルでの共同生活。
 勉強家のゴッホがドガやミレーを「人間の営みを描いた素晴らしい画家」だと主張すると、先鋭的なゴーギャンは「ミレーなんかカレンダー画家だ、ドガは踊り子を追いかけているだけだ」と痛烈に批判、あげく大喧嘩に発展してしまう。

 そんなゴーギャンとの諍いの直後、有名な「耳切り事件」を起こして町中の評判になり、ゴッホはますます心の病(統合失調症だったという説もある)が悪化。
 晩年は自ら精神病院への入院を望んでいたことも、この映画を見て初めて知った。

 ゴーギャン役のクインはアカデミー助演男優賞を受賞。
 主演男優賞にノミネートされたダグラスが落ちてしまったのは、やはりオスカー候補に挙がった『チャンピオン』(1949年)と同様、ヒステリー状態に陥る演技がいささか一本調子に見えるからかもしれない。

 ダグラスは当時37歳で、奇しくもゴッホが亡くなったのと同じ年齢であった。
 しかし、そういう事実を知らなければ、40代後半から50代前半としか思えないほど老けて見える。

 オススメ度B。

(1956年 アメリカ=MGM/日本公開1957年 122分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2017リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

52『サイレント・ランニング』(1972年/米)B
51『アンドロン』(2015年/伊、英、馬)D
50『アウトバーン』(2016年/米、独)B
49『カラーパープル』(1985年/米)A
48『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年/米)A
47『超高層プロフェッショナル』(1979年/米)C
46『特攻大作戦』(1967年/米)B
45『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2015年/米)B
44『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(2005年/米)D
43『エミリー 悪夢のベビーシッター』(2015年/米)C
42『チリ33人 希望の軌跡』(2015年/智、哥)B
41『人生は小説よりも奇なり』(2014年/米)C
40『ファミリー・プロット』(1976年/米)A
39『グッド・ネイバー』(2016年/米)C
38『エージェント・ウルトラ』(2015年/米)B
37『デッドプール』(2016年/米)B
36『ちはやふる−下の句−』(2016年/東宝)B
35『ちはやふる−上の句−』(2016年/東宝)B
34『クリーピー 偽りの殺人』(2016年/松竹、アスミックエース)D
33『ザ・コントロール』(2016年/米)D
32『ダイヤルM』(1998年/米)B
31『ランス・アームストロング/ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A
30『ラスト・スキャンダル あるハリウッドスターの禁じられた情事』(2014年/米)C
29『ヘイトフル・エイト』(2015年/米)C
28『マギー』(2015年/米)B
27『三匹の侍』(1964年/松竹)C
26『女ガンマン 皆殺しのメロディ』(1971年/英)B
25『さらば愛しき女よ』(1975年/米)B
24『バーディ』(1984年/米)B
23『父 パードレ・パドローネ』(1977年/伊)B
22『カンバセーション…盗聴…』(1974年/米)B
21『マン・オン・ワイヤー』(2008年/英、米)B
20『ザ・ブリザード』(2016年/米)C
19『クール・ランニング』(1993年/米)B
18『完全なるチェックメイト』(2015年/米)B
17『ルーム』(2015年/加、愛)B
16『イット・フォローズ』(2015年/米)C
15『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年/米)C
14『ザ・コア』(2003年/米)D
13『怪談』(1965年/東宝)B
12『切腹』(1962年/松竹)A
11『「ベガルタ」〜サッカー、震災、そして希望〜』(2016年/英)A
10『ユーズド・カー』(1980年/米)B
9『突破口!』(1973年/米)A
8『目撃』(1997年/米)B
7『ブラック・スキャンダル』(2015年/米)B
6『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』(2015年/米)C
5『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年/米)C
4『ロボシャークvs.ネイビーシールズ』(2015年/米)B
3『シェルター』(2010年/米)C
2『僕だけがいない街』(2016年/ワーナー・ブラザース)C
1『誰も知らない』(2004年/シネカノン)A