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『深夜プラス1[新訳版]』ギャビン・ライアル
2017年07月5日(水)
Midnight Plus One


 ノンフィクションや女性を描いた小説ばかり読んでいると、たまには「男の男による男のためのエンターテインメント」とでも言うべき冒険小説を読みたくなる。
 と思っていたところ、神楽坂の書店〈文悠〉でこの新訳版が平積みされているのが目にとまった。

 表紙カバーにシトロエンが描かれていた菊池光翻訳版ハヤカワ・ミステリ文庫は学生時代の1980年代に読んでいるが、そのときはアメリカのハードボイルド探偵小説と比べるといまひとつピンとこず。
 50代になったいま、改めて読み返してみた感想はというと、10代のころよりは遥かに面白く読めたものの、やはり熱心なファンが言うように心揺さぶられるほどの感動は覚えなかった。

 主人公ルイス・ケインは元レジスタンスの闘士で、アル中の用心棒ハーヴィー・ラヴェルとともに、謎の実業家マガンハルトをフランスからリヒテンシュタインまで送り届ける仕事を請け負う。
 様々なアクシデントに見舞われ、秘められた人間関係が明らかにされてゆく中、もう少しでリヒテンシュタインに辿り着く寸前、ケインたちの前に立ち塞がったのは、かつて同士としてナチスと戦った元レジスタンスの男たちだった。

 というあらすじは、クライム・アクションのストーリーとしてはよくできている。
 しかし、全編を貫く感傷のトーン、「元レジスタンスの意地と哀しみ」という感情は根本的に日本人には理解し難いものなのではないだろうか。

 最後に明らかとなる黒幕の正体も予想通りで、あまりにあっけなく殺されてしまうのが拍子抜け。
 エンターテインメントしての完成度は高く、このジャンルの名作とされていることに異論はないが。

(発行:早川書房 ハヤカワ文庫 翻訳:鈴木恵 
 第1刷:2016年4月25日 第2刷:同年7月15日 定価:1020円=税別
 菊池光翻訳版 ハヤカワ・ミステリ文庫刊行:1976年4月
 原語版発行:1965年 イギリス)

 2017読書目録

22『女の一生』ギ・ド・モーパッサン著、新庄嘉章訳(初出1883年/新潮社)
21『ホライズン』小島慶子(2017年/文藝春秋)
20『ロバート・アルドリッチ大全』アラン・シルヴァー、ジェイムズ・ウルシーニ著、宮本高晴訳(2012年/国書刊行会)
19『最後の冒険家』石川直樹(2008年/集英社)
18『完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯』フランク・ブレイディー著、佐藤耕士訳(2015年/文藝春秋)
17『モンティ・パイソンができるまで/ジョン・クリーズ自伝』ジョン・クリーズ著、安原和見訳(2016年/早川書房)
16『勝ち過ぎた監督/駒大苫小牧 幻の三連覇』中村計(2016年/集英社)
15『旅人の表現術』角幡唯介(2016年/集英社)
14『漂流』角幡唯介(2016年/新潮社)
13『雪男は向こうからやってきた』角幡唯介(2011年/集英社)
12『百田尚樹『殉愛』の真実』宝島取材班他(2015年/宝島社)
11『夫のちんぽが入らない』こだま(2017年/扶桑社)
10『1984年のUWF』柳澤健(2017年/文藝春秋)
9『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』角幡唯介(2010年/集英社) 
8『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』呉座勇一(2016年/中央公論新社)
7『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』大崎善生(2016年/角川書店)
6『うしろの正面だあれ』海老名香葉子(初出1985年/金の星社)
5『この世界の片隅に』こうの史代(2008年/双葉社)
4『これが広島弁じゃ!』灰谷謙二監修(2016年/洋泉社)
3『薬物とセックス』溝口敦(2016年/新潮新書)
2『ミナトのせがれ』藤木幸夫(2004年/神奈川新聞社)
1『誘拐』本田靖春(初出1977年/ちくま文庫)
サンデー毎日
10月1日号
「カープ新井貴浩
独占激白!」後編
黒田との契り
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サンデー毎日
9月24日号
「カープ新井貴浩
独占激白!」前編
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