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『ホライズン』小島慶子
2017年07月1日(土)


 元TBSのアナウンサーで、現在はタレント、エッセイストとして活動している小島慶子の小説第2作。
 自身が家族と暮らすオーストラリアのパース(と思われる町)を舞台に、日本人社会の中で生き抜く妻であり母である女性たちの群像を描いている。

 主人公の真知子は父の勧めで就職した会社の研究者と結婚し、3度の流産を経てひとり娘を出産。
 研究対象の藻にしか興味がない夫、日本人妻同士のつきあいのストレスに悩みながら、ふたり目の子供を身ごもる。

 そんな真知子を日本人妻の社会に引き込んだ宏美は元商社のキャリアウーマンで、子供がほしいという夫の願いを聞き入れず、現地で大学院に通い始める。
 バツイチの弓子は子連れで料理人と結婚、日本食レストランで評判を取っている夫が自慢だが、次第にライバル店に客を奪われ、募る不安を抑えきれない。

 オーストラリアでは海が身近にあることから、地元民は平気で水着のまま飲食店に出入りしたり、老齢の女性でも平気でビキニを着ていたりする。
 そんな開放的な雰囲気の一方で、ミネラルウォーターのペットボトルが300〜400円、レストランで注文したら1000円もするなど、非常に物価が高く、生活するのも楽ではない。

 そうした中、いまにも破綻しそうな女たちの生活はどうなるのか、とにもかくにも最後まで読ませる。
 ただ、男性読者の中には、こういう世界が肌に合わない人もいるかもしれませんが。

(発行:文藝春秋 初版第1刷:2017年4月20日 定価:1700円=税別)

 2017読書目録

20『ロバート・アルドリッチ大全』アラン・シルヴァー、ジェイムズ・ウルシーニ著、宮本高晴訳(2012年/国書刊行会)
19『最後の冒険家』石川直樹(2008年/集英社)
18『完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯』フランク・ブレイディー著、佐藤耕士訳(2015年/文藝春秋)
17『モンティ・パイソンができるまで/ジョン・クリーズ自伝』ジョン・クリーズ著、安原和見訳(2016年/早川書房)
16『勝ち過ぎた監督/駒大苫小牧 幻の三連覇』中村計(2016年/集英社)
15『旅人の表現術』角幡唯介(2016年/集英社)
14『漂流』角幡唯介(2016年/新潮社)
13『雪男は向こうからやってきた』角幡唯介(2011年/集英社)
12『百田尚樹『殉愛』の真実』宝島取材班他(2015年/宝島社)
11『夫のちんぽが入らない』こだま(2017年/扶桑社)
10『1984年のUWF』柳澤健(2017年/文藝春秋)
9『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』角幡唯介(2010年/集英社) 
8『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』呉座勇一(2016年/中央公論新社)
7『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』大崎善生(2016年/角川書店)
6『うしろの正面だあれ』海老名香葉子(初出1985年/金の星社)
5『この世界の片隅に』こうの史代(2008年/双葉社)
4『これが広島弁じゃ!』灰谷謙二監修(2016年/洋泉社)
3『薬物とセックス』溝口敦(2016年/新潮新書)
2『ミナトのせがれ』藤木幸夫(2004年/神奈川新聞社)
1『誘拐』本田靖春(初出1977年/ちくま文庫)