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『ファミリー・プロット』(NHK-BSpre)
2017年06月2日(金)
Family Plot


 サスペンスの神様、ヒッチコックが76歳で完成させた遺作は洒落っ気たっぷり、コメディー・タッチの快作だった。
 他界したのは本作の公開から4年後だが、すでにそのころから体力の衰えを痛感していたらしい。

 ジュリー・ハリス演じるインチキ霊媒師が、大金持ちの独居老人女性を相手に降霊術をやって見せる幕開けからして、何とも人を食った出だし。
 ハリスの恋人が冴えないタクシー運転手のブルース・ダーンで、ハリスに「きょうは泊まってってよ!」夜のお勤め≠せがまれるたび、用があるとか仕事が忙しいとか言い訳をしては逃げを打つダメ男ぶりが笑わせる。

 序盤、そのダーンがハリスを後ろに乗せてタクシーを飛ばしている最中、目の前をブロンドにサングラスの女が横切り、ダーンが慌てて急ブレーキをかける。
 すると、カメラはそのままブロンドを追いかけ、この女カレン・ブラックと情夫の宝石商ウィリアム・ディベインの営利誘拐を描いたシークェンスに移行。

 余談になるが、この種の視点の転換は恐らくジョン・ハーツフェルドの傑作『2 days トゥー・デイズ』(1996年)あたりでハリウッド映画のスタンダードな手法として定着。
 その後、ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』(1999年)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『バベル』(2006年)でさらなる発展形へ昇華されることになる。

 そうしたエピゴーネンが輩出する20年前、ヒッチコックは本作でその原型ともいうべき語り口を披露しているわけだ。
 かくしてダーン&ハリスの詐欺師カップル、ディベイン&ブラックの誘拐カップルがどのように交錯し、どっちが大金をせしめるのか、という本筋へ入ってゆく。

 ダーン&ハリスは当初、大金持ちの女性に頼まれ、彼女からの謝礼を目当てにディベインに接触しようとする。
 一方、ディベイン&ブラックのほうは自分の正体を知られたからには生かしておけないと、配下のエド・ローターを使って殺害を計画。

 そのローターが返り討ち≠ノ遭う経緯が何とも間抜けで、ダーン&ハリスがディベイン&ブラックに囚われながら逆襲に転じる頭脳プレー≠熬ノ快。
 さらに、オチでもう一押し、のワンカットがいい。

 規模が大きく、大作感の強かった『北北西に進路を取れ』(1959年)、『サイコ』(1960年)、『鳥』(1961年)などと比べると、B級プログラム的な雰囲気が濃いのも、ほかのヒッチコック作品にはない魅力。
 ヒッチコック先生には、こういう軽妙なタッチの作品をあと2〜3本は撮ってほしかったな。

 オススメ度A。

(1976年 アメリカ=ユニバーサル・ピクチャーズ 121分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2017リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

39『グッド・ネイバー』(2016年/米)C
38『エージェント・ウルトラ』(2015年/米)B
37『デッドプール』(2016年/米)B
36『ちはやふる−下の句−』(2016年/東宝)B
35『ちはやふる−上の句−』(2016年/東宝)B
34『クリーピー 偽りの殺人』(2016年/松竹、アスミックエース)D
33『ザ・コントロール』(2016年/米)D
32『ダイヤルM』(1998年/米)B
31『ランス・アームストロング/ツール・ド・フランス7冠の真実』(2013年/米)A
30『ラスト・スキャンダル あるハリウッドスターの禁じられた情事』(2014年/米)C
29『ヘイトフル・エイト』(2015年/米)C
28『マギー』(2015年/米)B
27『三匹の侍』(1964年/松竹)C
26『女ガンマン 皆殺しのメロディ』(1971年/英)B
25『さらば愛しき女よ』(1975年/米)B
24『バーディ』(1984年/米)B
23『父 パードレ・パドローネ』(1977年/伊)B
22『カンバセーション…盗聴…』(1974年/米)B
21『マン・オン・ワイヤー』(2008年/英、米)B
20『ザ・ブリザード』(2016年/米)C
19『クール・ランニング』(1993年/米)B
18『完全なるチェックメイト』(2015年/米)B
17『ルーム』(2015年/加、愛)B
16『イット・フォローズ』(2015年/米)C
15『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年/米)C
14『ザ・コア』(2003年/米)D
13『怪談』(1965年/東宝)B
12『切腹』(1962年/松竹)A
11『「ベガルタ」〜サッカー、震災、そして希望〜』(2016年/英)A
10『ユーズド・カー』(1980年/米)B
9『突破口!』(1973年/米)A
8『目撃』(1997年/米)B
7『ブラック・スキャンダル』(2015年/米)B
6『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』(2015年/米)C
5『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年/米)C
4『ロボシャークvs.ネイビーシールズ』(2015年/米)B
3『シェルター』(2010年/米)C
2『僕だけがいない街』(2016年/ワーナー・ブラザース)C
1『誰も知らない』(2004年/シネカノン)A