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NHKドキュメンタリーマジックキャッスル・シリーズ
2017年05月11日(木)


 4月19・22日、NHK-BSでマジック及びマジシャンをテーマにしたドキュメンタリー番組3本が放送された。
 どれもなかなか秀逸な作品で、ノンフィクションの書き手としても大変参考になったところを記しておきたい。
 
 『喝采 驚嘆と爆笑のマジック!HARAとブラボー中谷』(初放送:4月19日 60分)
 主役は自称秋田のイカサマ手品師<uラボー中谷(56歳)、アメリカに進出して人気を博しているHARA(原大樹、27歳)のふたり。

 今風の壮大で洒落たマジックでラスベガスのコンテストで優勝、テレビのオーディション番組でもスタンディングオベーションを受けているHARAに対し、温泉宿や小児病棟を回っているブラボーのマジックはいかにも安っぽくお笑い優先。
 そんなブラボーは秋田・美郷町の居酒屋兼ラーメン屋のせがれ、HARAは奈良・十津川村にある掘っ立て小屋のような家で生まれた子供と、生い立ちに相通ずるものがあるのが興味深い。

 クライマックスはこのふたりのコラボ・マジックショーで、これは番組制作サイドの演出だろうが、大変見応えがある。
 オススメ度A。

 『野望 マジックキャッスルを目指す若者たち』(初放送:4月19日 60分)
 この作品で初めて、ハリウッドで1963年に創設された会員制マジック・クラブ〈マジックキャッスル〉というマジシャンの殿堂が紹介される。

 主人公・三井アキノブ、通称「アキ」は、マジックキャッスルの昼の部のショーで修行を積みながら、夜のステージでセレブ会員に自分のマジックを披露し、喝采を浴びることを夢見る24歳の若者。
 このアキの師匠が、マジックキャッスルでマジシャン・オブ・ザ・イヤーを5回も受賞した日本人ナンバーワン・マジシャンの緒川集人である。 

 この師弟に、アキのルームメイト、トーマス・ニール(28歳)、UCLAを卒業しながらマジシャンを志すジョン・アッカート(23歳)らアメリカの若者たちがからむ。 
 クライマックスでは、彼らが絶対失敗できないオーディションで、とっておきの勝負マジック≠見せる。

 最近、これほど手に汗握り、思わず「失敗するなよ」「ちゃんとやれよ」と声をかけたくなったドキュメンタリーはスポーツ物でも記憶にない
 オススメ度A。

 『スーパープレミアム/潜入!世界最高峰のマジック殿堂 マジックキャッスル』(初放送:4月22日 180分)
 これがこのシリーズのメーンイベントで、マジックキャッスルが誇るトップ・マジシャン10人が、それぞれ「世界最高峰」のマジックを見せてくれる。

 ショーン・ファーカーの生きているハンカチ=Aアンドリュー・ゴールデンハーシュの針と糸=Aダニー・コールの瞬間着替え=Aハビィ・ベニテツの4枚のカード=Aクリストファー・ハートの楽譜とBGM=Aマイク・ピショータのバーカウンター・カードマジック=A緒川集人のコインと小石と金魚≠ネど、どれもこれも大変素晴らしい。
 極め付きはケビン・ジェームスの人体切断=Aビル・グッドウィンの王道的カード・マジック≠ナ、このクラスになると貫禄すら感じさせる。

 という具合で、大変楽しかったが、現地でリポーター役を務めた俳優やお笑い芸人のパート、スタジオに並んだコメンテーターのおしゃべりは余計だった。
 見ているこちらがじっくりマジックを見て驚いている矢先、彼らに「うお〜!」「うえ〜!」などとわざとらしい声をあげられたら、かえっててシラケるだけ。

 マジックキャッスルに日本のテレビカメラが入ったのはこの番組が初めてだそうだが、ドキュメンタリーとしての価値や完成度は全2作よりも劣ると言わざるを得ない。
 オススメ度B。