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『ヘイトフル・エイト』(WOWOW/R-15指定版)
2017年05月1日(月)
The Hateful Eight


 タランティーノ作品で一番面白かったのは監督デビュー作『レザボア・ドッグス』である。
 巨匠扱いされるようになってからの『イングロリアス・バスターズ』(2009年)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)、そしてこの『ヘイトフル・エイト』は世間で評価されているほど優れた作品とは思えない。

 この3作に共通しているのは、昔のマカロニ・ウェスタンの露骨な影響下に作られている、というよりタランティーノが物真似をしようと血眼になっている?こと。
 それぞれ、元ネタになっている主な作品を挙げると、『イングロリアス…』(序盤のシークェンス)が『ウエスタン』(1968年、セルジオ・レオーネ監督)、『ジャンゴ…』が『続・荒野の用心棒』(66年、セルジオ・コルブッチ監督)、『ヘイトフル…』が『殺しが静かにやってくる』(69年、S・コルブッチ監督)などなど。

 そもそも『レザボア…』にしてから、『続・夕陽のガンマン』(1966年、S・レオーネ監督)の三つ巴(というか三竦みというか)の対決のアイデアを丸々パクっているのだ。
 オマージュでもパロディでも面白ければ文句はないのだが、タランティーノはレオーネの真似をしたくて仕方がないようで、どうでもいい場面にいちいち時間をかけ過ぎる。

 例えば、タイトルバックの雪原を突き進んでくる馬車をワンカットで捉えたオープニング、カート・ラッセルとジェニファー・ジェイソン・リーが乗っていたその馬車に、サミュエル・L・ジャクソンやウォルトン・ゴギンズが便乗するくだりなど、なぜここまでクドクド、ダラダラ描く必要があるのか、さっぱりわからない。
 シナリオのキモ、ジャクソンが肌身離さず持っているリンカーンの手紙のアイデアは面白いが、こう無意味に長くてはこの手紙を使ったオチの効果も半減。

 また、エンニオ・モリコーネが作曲したという「オリジナル・メインテーマ」は明らかに『狼の挽歌』(1970年)のテンポを変えただけの焼き直し。
 突然『エクソシスト2』(1977年)の「リーガンのテーマ」が流されるところも、オリジナルのイメージが強過ぎて大いに違和感を感じた。

 タランティーノの最近の手法や話術を面白いと感じるファンが多いことに異論を唱えるつもりはない。
 しかし、このスタイルにはレオーネというれっきとした本家がいて、どの代表作もぼくは複数回観ているから、いま改めてタランティーノにその類似品≠見せられても、ただただ冗長にしか感じられないのである。

 オススメ度C。

(2015年 アメリカ=ワインスタイン・カンパニー/日本配給2016年 ギャガ 167分 劇場公開版R-18)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2017リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

28『マギー』(2015年/アメリカ)B
27『三匹の侍』(1964年/松竹)C
26『女ガンマン 皆殺しのメロディ』(1971年/英)B
25『さらば愛しき女よ』(1975年/米)B
24『バーディ』(1984年/米)B
23『父 パードレ・パドローネ』(1977年/伊)B
22『カンバセーション…盗聴…』(1974年/米)B
21『マン・オン・ワイヤー』(2008年/英、米)B
20『ザ・ブリザード』(2016年/米)C
19『クール・ランニング』(1993年/米)B
18『完全なるチェックメイト』(2015年/米)B
17『ルーム』(2015年/加、愛)B
16『イット・フォローズ』(2015年/米)C
15『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年/米)C
14『ザ・コア』(2003年/米)D
13『怪談』(1965年/東宝)B
12『切腹』(1962年/松竹)A
11『「ベガルタ」〜サッカー、震災、そして希望〜』(2016年/英)A
10『ユーズド・カー』(1980年/米)B
9『突破口!』(1973年/米)A
8『目撃』(1997年/米)B
7『ブラック・スキャンダル』(2015年/米)B
6『シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄』(2015年/米)C
5『ゾンビシャーク 感染鮫』(2015年/米)C
4『ロボシャークvs.ネイビーシールズ』(2015年/米)B
3『シェルター』(2010年/米)C
2『僕だけがいない街』(2016年/ワーナー・ブラザース)C
1『誰も知らない』(2004年/シネカノン)A