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『ハドソン川の奇跡』
2016年09月30日(金)
Sully


 2009年1月15日、USエアウェイズ1549便がラガーディア空港から離陸した直後にニューヨークのハドソン川に不時着水、乗員乗客の155人全員が無事救出された大事故を映画化した実話ダネ作品である。

 監督は『J・エドガー』(2011年)、『アメリカン・スナイパー』(2014年)など、最近はノンフィクションを題材とした力作も多いクリント・イーストウッド。
 主演はトム・ハンクスで、こちらも『アポロ13』(1995年)、『キャピテン・フィリップス』(2013年)などで実在の宇宙飛行士やキャプテンを演じているだけあり、大変リアルで完成度が高く、感動的な一篇に仕上がっている。

 開巻早々、ハンクス演じるサリー≠アとチェスリー・サレンバーガー機長の操縦するエアバスA320のエンジンが停止、操縦不能になり、墜落してゆく場面が映し出される。
 果たしてハドソン川に着水できるのか、このままではその前にビル群の中に落ちてしまうぞ、と思わず手に汗握っていたら、これはサレンバーガーの夢だった、というなかなか意表を突いた出だしから映画は始まる。

 夢から覚めたサレンバーガーが向かったのは、国家運輸安全委員会(NTSB)の調査官たちによるヒアリングが行なわれている一室で、時はすでにハドソン川の奇跡≠ゥら一定の時間が経過しており、英雄と祭り上げられたサレンバーガーの判断にミスがあったのではないかと調べられているところだった。
 こうしてイーストウッドは、この映画が単なる英雄的行為の礼賛にとどまらず、乗員乗客を死なせかねなかった危険人物というレッテルを貼られかけたサレンバーガーの名誉回復の物語であることを印象付ける。

 不時着水の場面は迫力たっぷりで、実際に救助に使われたフェリーを使用してハドソン川で大がかりなロケ撮影を敢行し、本物のエアバスを湖に浮かべた映像と組み合わせ、CGやVFXを駆使して航空史上に残る事故を再現している。
 撮影には最新鋭のカメラ〈ALEX IMAX 65mm〉を使用しており、ぼくは丸の内ピカデリーのノーマル2Dで見たが、これから見る人にはIMAXシアターのほうをお勧めしたい。

 しかし、本当のクライマックスはこのスペクタキュラーな事故の再現シーンのあと、副操縦士ジェフ・スカイルズ(アーロン・エッカート)とともに公聴会に臨んだサレンバーガーの反論にある。
 『アポロ13』で情熱的なジム・ラヴェル船長を演じていたハンクスも60歳になり、冷静沈着に対処するヴェテランのパイロットを淡々と演じて、独特の渋みを感じさせるようになった。

 また、上映時間が96分と今時の大作としては非常に短く、そのぶんテンポの良さ、切れ味の鋭さが感じられる。
 久々に、1時間40分程度の作品が多かった20世紀のアメリカ映画の面白さを彷彿とさせることも指摘しておきたい。

 採点は80点。

(2016年 アメリカ=ワーナー・ブラザース 96分)

丸の内ピカデリーなどでロードショー公開中

※50点=落胆 60点=退屈 70点=納得 80点=満足 90点=興奮(お勧めポイント+5点)

 2016劇場公開映画鑑賞リスト
14『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年/米)70点
13『スポットライト 世紀のスクープ』(2015年/米)85点
12『ニュースの真相』(2015年/豪、米)70点
11『X-MEN:アポカリプス』(2016年/米)75点
10『シン・ゴジラ』(2016年/東宝)90点
9『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015年/米)90点
8『インデペンデンス・デイ リサージェンス』(2016年/米)70点
7『疑惑のチャンピオン』(2015年/英、仏)70点
6『ダーク・プレイス』(2015年/英、仏、米)70点
5『帰ってきたヒトラー』(2015年/独)80点
4『マネーモンスター』(2016年/米)75点
3『FAKE』(2016年/東風)80点
2『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年/米)80点
1『白鯨との闘い』(2015年/米)80点