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『三十九夜』(WOWOW)
2016年04月17日(日)
The 39 Steps


 ヒッチコック作品は名作としての評価が定着しているハリウッド時代より、イギリス時代からアメリカ時代初期のほうが個人的には好きだ。
 前回、ここに取り上げた『第3逃亡者』(1935年)のように、『バルカン超特急』(1938年)、『海外特派員』(1940年)、『逃走迷路』(1942年)など、巻き込まれ型の冒険物語がとくに面白い。

 1935年に公開されたこの『三十九夜』は、そんな新進気鋭監督時代の代表作である。
 ファンからヒッチコック・ベスト10を募ったら、ハリウッド時代を含めても上位に入ってくるのではないか。

 開巻、カナダ帰りの主人公リチャード・ハネイ(ロバート・ドーナット)がミュージック・ホールでミスター・メモリー(ワイリー・ワトソン)なる芸人のパフォーマンスを楽しんでいる。
 この芸人は何でも覚えている図抜けた記憶力が売り物で、客が矢継ぎ早にぶつけてくる質問に答えていたところ、突然発砲事件が発生。

 大騒ぎとなったホールから駆け出したハネイは、通りすがりの女性アナベラ・スミス(ルースー・マンハイム)に助けを求められる。
 ハネイがアナベラを自分のアパートに連れてきたら、私はスパイで命を狙われている、私を追っている一味の首領には小指がなく、その男はスコットランドに潜んでいると告白。

 アナベラを自分の寝室に寝かせ、自分はカウチで一夜を明かしたハネイが翌朝目を覚ますと、アナベラは背中をナイフで刺されて殺されていた。
 警察にアナベラを殺したと勘違いされたハネイは、スコットランドにいるという秘密組織の首領を探し出すため、特急フライング・スコッチマンに乗って逃走を開始。
 
 ここから先はまさに息をもつかせぬ面白さで、走り続ける列車の中でハネイと警察官たちが追いつ追われつ。
 通りすがりの女性パメラ(マデリーン・キャロル)に助けを求めたら、逆に彼女に警察官に売られてしまった。

 何とか追っ手を振り切ったハメイは、アナベラが持っていた地図を頼りに、ジョーダン教授(ゴッドフリー・タール)という人物の屋敷に辿り着く。
 まさかこの紳士が悪漢たちの親分ではあるまいと思っていたら、彼の右手には小指がなかった。

 ハネイが慌てて屋敷から脱出し、地元の警察署に駆け込んで事情を話すと、逆に殺人容疑で逮捕されてしまう。
 ここからも飛び出して選挙演説が行われている公会堂へ紛れ込み、応援演説に来た人物と間違われて一席ぶたざるを得なくなる、という笑わせどころを挟んでいるのがヒッチコックならではの演出の妙だろう。

 どうにか逃げ切ったと一安心したのも束の間、パメラにばったり再会したハメイは、またもや警察に引き渡される。
 ところが、ハメイだけでなくパメラにも手錠をかけた刑事たちは、実はジョーダン教授が放った秘密組織の一味だった。

 ここからさらに話が二転三転して、舞台は終盤、あの発砲事件が起こったミュージック・ホールへ戻ってくる。
 90分にも満たない上映時間の中で様々な見せ場を矢継ぎ早に繰り出し、どうやって決着させるのかと固唾をのんで見守っていたら、思わず拍手したくなる見事なオチが待っていた。

 ちなみに、ミスター・メモリーというキャラクターは原作にはなく、ヒッチコック独自のアイデアだったらしい。
 いまさらながら、サスペンスの神様はやっぱりスゴイ! と感嘆させられました。

 お勧め度はA。 
 
(1935年 イギリス 88分)

ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2016リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

27『第3逃亡者』(1937年/英)B
26『サボタージュ』(1936年/英)B
25『吸血鬼ドラキュラ』(1958年/英)B
24『オオカミは嘘をつく』(2013年/以)C
23『メイズ・ランナー』(2014年/アメリカ)C
22『帝都物語』(1988年/東宝)C
21『座頭市地獄旅』(1965年/大映)B
20『鬼龍院花子の生涯』(1982年/日本ヘラルド)A
19『瀬戸内少年野球団』(1984年/日本ヘラルド)C
18『ダイナマイトどんどん』(1978年/大映、東映)C
17『バンクーバーの朝日』(2014年/東宝、フジテレビ)A
16『ティン・カップ』(1996年/米)C
15『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994年/米)A
14『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014年/加、米、独、仏)B
13『博士と彼女のセオリー』(2014年/英)A
12『チャッピー』(2015年/米)A
11『荒野はつらいよ〜アリゾナより愛をこめて〜』(2014年/米)C
10『サンダーボルト』(1974年/米)B
9『白い肌の異常な夜』(1971年/米)B
8『刑事コロンボ 第45話「策謀の結末」』(1978年/米)C
7『はぶらし/女友だち』(2016年/NHK)A※未ビデオ化
6『暁の7人』(1975年/米)A
5『ジョニーは戦場へ行った』(1971年/米)B
4『NHKスペシャル 映像の世紀』(1995年/NHK)A
3『刑事コロンボ 第44話「攻撃命令」』(1978年/米)B
2『刑事コロンボ 第43話「秒読みの殺人」』(1978年/米)C
1『ラヴ・ストリームス』(1984年/米)A