counter
www.akasaka-cycle.com
font size       [old site
 home   blog   works   pick-up   others   profile   bbs 
『ガキ帝国』(日本映画専門ch)
2015年07月18日(土)


 この映画は劇場公開当時、広島市の松竹名画座(封切作品も時折上映していた。現在は閉館)で見た。

 万博の開催が決まり、庶民の間で未来への期待が膨らみつつあった1967年の大阪が舞台。
 まだ悪ガキが「ヤンキー」や「チーマー」ではなく、ただの「不良」と呼ばれていたこの時代、暴力団をバックに勢力を伸ばすグループに対抗し、果敢に喧嘩を仕掛ける3人組、リュウ(島田紳介)、チャボ(松本竜助)、ケン(趙方豪=チョウ・バンホウ)の活躍と青春が描かれる。

 監督の井筒和幸がブレークするきっかけとなった作品であり、その鮮烈な場面の数々はいまも記憶に残っている。

 開巻早々、スクリーンいっぱいに映し出された「不良」そのものの紳介の顔。
 趙が在日韓国人の旧友と突然母国語でしゃべり始め、何の前触れもなく日本語字幕が出てくる演出。
 最初はお笑い芸人のカメオ出演のように見えながら、次第に凄みと貫禄を漂わせ始めるヤクザの組長・上岡龍太郎。

 初めて見た18歳のころはそのすべてが新鮮で、狭苦しい映画館の中で圧倒されるような思いを味わった。
 ただし、その半面、主人公の3人が上岡率いる暴力団予備軍の勢力に呑み込まれてしまい、夜の街を逃げ去ってゆくエンディングに何とも言えない閉塞感を覚えたのも確かである。

 また、いま見直すと、肝心の喧嘩の場面の演出がモタモタしていて、いかにも迫力に乏しい。
 井筒映画のファンならぜひチェックしておきたい1本ながら、ファンでなければ評価は賛否両論だろう。

 なお、本作で紳介とがっぷり四つに組み、強烈な存在感を示した趙はヨコハマ映画祭の新人賞を受賞。
 いまで言えばハ・ジョンウのような才能を感じさせる俳優だったが、1997年に41歳という若さで病没している。

 それから9年後の2006年(ぼくが会社を辞めて独立した年)、松本竜助が49歳で他界。
 さらにその5年後の2011年には、主役3人の中でひとりだけ生き残っていた紳介も、55歳で芸能界を引退した。

 紳介引退の理由はよく知られている通り、暴力団との親密な交際が発覚したことにある。
 『ガキ帝国』の中で、最後まで「ヤクザには負けへんぞ」と息巻いていたリュウは、結局ヤクザとつきあうようになって身を滅ぼしたのだ。

 実際の紳介、現在は一私人の長谷川公彦氏は死ぬまで食うに困らない大金持ちだそうだが。
 そういう現状に思いを馳せると、日本の芸能史に特異な位置を占める映画と言えるかもしれない。
 
 お勧め度はB。
 
(1981年 日本アート・シアター・ギルド=ATG 115分)

 ブルーレイ&DVDレンタルお勧め度2015リスト
 ※A=ぜひ!(^o^) B=よかったら(^^; C=ヒマなら(-_-) D=やめとけ(>_<)

72『祭りの準備』(1976年/ATG)A
71『青春の殺人者』(1975年/ATG)A
70『他人の顔』(1966年/東宝)B
69『武士道無残』(1960年/松竹)B
68『天井桟敷の人々』(1945年/仏)A
67『未来は今』(1994年/米)C
66『ある日どこかで』(1980年/米)B
65『テス』(1979年/伊、仏)A
64『血まみれギャングママ』(1970年/米)C
63『脱出』(1972年/米)A
62『けんか空手 極真拳』(1975年/東映)C
61『関東緋桜一家』(1972年/東映)B
60『日本女侠伝 侠客芸者』(1969年/東映)A
59『現代やくざ 与太者仁義』(1969年/東映)C
58『暗黒街最大の決斗』(1963年/東映)C
57『ヒッチハイク』(1977年/伊)B
56『裏切りの荒野』(1967年/伊)C
55『ミッション』(1986年/英)B
54『生きてこそ』(1993年/米)B
53『ダブル・ジョパディー』(1999年/米)B
52『レ・ミゼラブル』(2012年/米)A
51『トランセンデンス』(2014年/米)C
50『ダイバージェント』(2014年/米)C
49『狼男アメリカン』(1981年/米)B
48『グレートレース』(1965年/米)B
47『海底二万哩』(1954年/米)B
46『救命艇』(1944年/米)B
45『ゴジラ』(1984年/東宝)C
44『怪獣総進撃』(1968年/東宝)C
43『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年/東宝)C
42『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年/東宝)C
41『リアリティー』(2012年/伊、仏)C
40『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(2014年/諾、瑞、丁)C
39『まごころを君に アルジャーノンに花束を』(1968年/米)C
38『ビューティフル・マインド』(2001年/米)B
37『あ・うん』(1989年/東宝)B
36『ローン・サバイバー』(2014年/米)A
35『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年/米)B
34『真昼の決闘』(1952年/米)A
33『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年/米)B
32『運動靴と赤い金魚』(1997年/伊蘭)A
31『ルームメイト』(2013年/東映)C
30『モテキ』(2011年/東宝)C
29『神様のカルテ』(2011年/東宝)C
28『バットマン』(1989年/米)B
27『バックドラフト』(1991年/米)B
26『イーグル・アイ』(2008年/米)A
25『そこのみにて光輝く』(2014年/東京テアトル他)A
24『サイドウェイ』(2004年/米)A
23『ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男』(2012年/仏)C
22『メトロ42』(2012年/露)C
21『リベンジ・マッチ』(2013年/米)C
20『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(2013年/米)C
19『ボーン・アルティメイタム』(2007年/米)B
18『ボーン・スプレマシー』(2003年/米)B
17『ボーン・アイデンティティー』(2002年/米)B
16『ザ・タワー 超高層ビル大火災』(2012年/韓)B
15『ハードエイト』(1996年/米)A
14『刑事コロンボ 第38話「ルーサン警部の犯罪」』(1976年/米)B
13『刑事コロンボ 第37話「さらば提督」』(1976年/米)B
12『ワイルド・ビル』(1995年/米)C
11『鷲と鷹』(1969年/米)C
10『プロフェッショナル』(1966年/米)C
9『戦略大作戦』(1970年/米)C
8『スリー・キングス』(1999年/米)B
7『里見八犬伝』(1983年/角川春樹事務所)C
6『パシフィック・リム』(2013年/米)A
5『大脱出』(2013年/米)B
4『追悼のメロディ』(1976年/仏)A
3『フリック・ストーリー』(1975年/仏、伊)B
2『ロボコップ』(2014年/米)B
1『アメリカン・ハッスル』(2013年/米)B