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『もっと厭な物語』文藝春秋・編
2017年10月19日(木)

 前項『厭な物語』(2013年)が好評だったため、翌14年に刊行されたアンソロジーのパート2。
 前作は外国人作家ばかりだったが、今作は文豪・夏目漱石をはじめ探偵小説作家・氷川瓏、ミステリ作家・草野唯雄、児童文学作家・小川未明など、日本人作家の4編を加えている。

 これがどれもこれもまことに恐ろしく、とくに漱石の『第三夜』(『夢十夜』所収)の赤ん坊の口の利き方、草野の『皮を剥ぐ』のカエル狩りの詳細な描写が非常に気持ち悪い。
 氷川の『乳母車』、小川の『赤い蝋燭と人魚』は、「厭な」感じとは別に、ノスタルジックな味わいが印象が残る。

 一方で、シャーロット・パーキンズ・ギルマンの『黄色い壁紙』は完成度が高く、ヒロインが狂気に蝕まれてゆく過程もじっくり描き込まれているが、肝心の壁紙の模様が頭に浮かんでこないのでピンとこない。
 また、現代を代表するホラーの巨匠クライヴ・バーカーはデビュー当時からぼくの肌に合わず、『恐怖の探求』もいささか冗長に感じられた。

 前作と同じく、「厭な」感じが残るよう、最後の1本の前に解説を持ってきて、ルイス・パジェットの『著者謹呈』が巻末を飾っている。
 ただ、最後の1ページはハマり過ぎで、逆に吹き出してしまいました。

(発行:文藝春秋 文春文庫 第1刷:2014年2月10日 定価:650円=税別)

 2017読書目録

28『厭な物語』文藝春秋編(2013年/文藝春秋)
27『厭な映画』山崎圭司、岡本敦史、映画秘宝編集部(2015年/洋泉社)
26『ペドロ・マルティネス自伝』ペドロ・マルティネス&マイケル・シルバーマン著、児島修訳(2017年、東洋館出版)
25『山怪 山人が語る不思議な話』田中康弘(2015年/山と渓谷社)
24『鷲は舞い降りた[完全版]』ジャック・ヒギンズ著、鈴木光訳(初出1975年、1997年/早川書房)
23『深夜プラス1[新訳版]』ギャビン・ライアル著、鈴木恵訳(初出1965年、2016年/早川書房)
22『女の一生』ギ・ド・モーパッサン著、新庄嘉章訳(初出1883年/新潮社)
21『ホライズン』小島慶子(2017年/文藝春秋)
20『ロバート・アルドリッチ大全』アラン・シルヴァー、ジェイムズ・ウルシーニ著、宮本高晴訳(2012年/国書刊行会)
19『最後の冒険家』石川直樹(2008年/集英社)
18『完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯』フランク・ブレイディー著、佐藤耕士訳(2015年/文藝春秋)
17『モンティ・パイソンができるまで/ジョン・クリーズ自伝』ジョン・クリーズ著、安原和見訳(2016年/早川書房)
16『勝ち過ぎた監督/駒大苫小牧 幻の三連覇』中村計(2016年/集英社)
15『旅人の表現術』角幡唯介(2016年/集英社)
14『漂流』角幡唯介(2016年/新潮社)
13『雪男は向こうからやってきた』角幡唯介(2011年/集英社)
12『百田尚樹『殉愛』の真実』宝島取材班他(2015年/宝島社)
11『夫のちんぽが入らない』こだま(2017年/扶桑社)
10『1984年のUWF』柳澤健(2017年/文藝春秋)
9『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』角幡唯介(2010年/集英社) 
8『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』呉座勇一(2016年/中央公論新社)
7『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』大崎善生(2016年/角川書店)
6『うしろの正面だあれ』海老名香葉子(初出1985年/金の星社)
5『この世界の片隅に』こうの史代(2008年/双葉社)
4『これが広島弁じゃ!』灰谷謙二監修(2016年/洋泉社)
3『薬物とセックス』溝口敦(2016年/新潮新書)
2『ミナトのせがれ』藤木幸夫(2004年/神奈川新聞社)
1『誘拐』本田靖春(初出1977年/ちくま文庫)