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大阪惨敗
2001年08月1日(水)
○2001年8月号掲載

 2008年夏季五輪に立候補していた大阪市が惨敗した。

 7月13日にモスクワで開かれたIOC総会でわずか6票しか取れず、5都市の中で最下位に終わった。開催都市には同じアジアの北京が決まった。

 磯村隆文市長ら関係者のショックは大きい。早くから北京有利と言われており、大阪市は負けを覚悟の勝負だったとはいえ、イスタンブールよりも票数が少なかったのが関係者には何より痛手だったようだ。

 それは大阪市の知名度の低さというより、日本という国が21世紀初頭のいま、世界の中でこの程度しか評価されていないという事実の反映でもあったからだろう。例えば大阪市よりも知名度の高い京都市が立候補していたとしても、投票結果はそんなに変わらなかったと思われる。

 厳しい現実だと思う。開催理念がわかりにくかったとか、招致活動がまずかったとか、市民の熱気が終始薄かったとか、敗北の理由はいろいろ分析されているが、いずれも表面的な理由にしか思えない。根回しをしたはずなのに6票しか取れなかった背景には、もっと深刻な何かがあるような気がする。

 私なりに推測すれば、アジアの中心的国家として今後は中国を推そうという流れが世界的にできつつあり、その奔流が今回の投票結果につながったのではないかということだ。

 中国は12億人以上の人々が住み、めざましい経済成長によってロシアに代わり社会主義圏の超大国になりつつある。米国がいま最も警戒する国だ。もはや日本ではない、という空気が醸成されつつある中での五輪招致合戦だったと位置付けても、そう的外れではないだろう。

 そもそも中国は四大文明の発祥地の一つであり、世界でも有数の歴史的遺産を持つ国だった。それが、19世紀のアヘン戦争をきっかけに欧州列強に侵略され、苦難の歩みを続けてきた。その屈辱の思いを晴らす絶好の機会が夏季五輪開催と言える。

 同じアジアの大阪は今回、その歴史の波をもろにかぶった。単なる不運ではすまされない点に深刻さがある。
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